
EXTターボ分子/複合分子ポンプおよびEXCコントローラは、最先端技術を用いて信頼性の高い、ハイドロカーボンの無い高/超高真空を実現します。
性能面での主な特長
ターボ分子ポンプ(TMP)は、マルチステージの軸流タービンであり、高速回転するブレードが排気方向へ移動するガス分子の確率を高めることによって圧縮をもたらします。ターボ分子ポンプは分子の流れ状態に合わせて最適化され、大気への排気用に適切な大きさの2ステージロータリポンプまたはオイルフリースクロールポンプを必要とします。
複合分子ポンプ(CMP)は、ブレードが付属するターボ分子ステージと分子ドラッグステージを同一ロータ上で合体させるというコンセプトを基礎にしています。この構造によって以下が実現します。
・フォアラインの高臨界圧(標準で最大1,000Pa)
・より小型の背圧ポンプまたはダイヤフラムポンプの使用が可能
排気速度
(体積流量率)はロータ径、インレットフランジサイズ、および回転速度によって決まります。排気速度は、高インレット圧では背圧ポンプの排気速度によって決まります。
インレット圧が上昇するにつれて、モータの消費電力とポンプ温度は増大します。最大連続インレット圧は定常排気の排気量上限を規定し、その値は使用される冷却方法によって変化します。その圧力を超えると、温度センサがポンプの出力を制限するため、ポンプの回転速度は低下します。水冷ポンプでは、実際の最大排気量は背圧ポンプのサイズに依存します。
無負荷時消費電力
無負荷時消費電力は、ノーマル回転速度で作動し、低ガス排気量状態(10-1Paレンジ以下のインレット圧)のポンプの公称電源消費量を指します。加速中または高ガス流量排気または臨界背圧時には、ポンプの消費電力は増大し、使用するEXCコントローラ用の最大出力に近接します。従来型ターボ分子ポンプの臨界背圧は、10〜20Pa程度です。
圧縮比
圧縮比は、回転速度、ポンプのステージ数、排気するガスの分子量によって決まります。より重たいガスでは、圧縮比は大きくなります。ハイドロカーボンの逆拡散抑制が極めて優れており、水素比が超高真空アプリケーションにとって重要なのはそのためです。
到達圧力
Pneurop基準に従って計測されたこの値は、ベーキング後48時間の被試験システム内で達成された最低圧を示します。システムの背圧ポンプは、1基の2ステージロータリポンプだけです。ISOフランジ付きポンプではフルオロエラストマ製インレットシール、CFフランジ付きポンプではメタルシールが使用されています。
ベアリングおよびサスペンション技術
磁気ベアリングとセラミックボールベアリングという2種類の基本技術が採用されています。
従来型スチールベアリングの代わりに、グリースまたはオイルによって寿命が尽きるまでの潤滑が確保されているセラミックベアリングが採用されました。シリコン窒化物製セラミックボールは、スチール製のものと比較して軽量、硬質、円滑のため、長寿命と低振動特性が実現しました。ボールとレースの素材が異なるため、マイクロピットの発生を防ぎ、信頼性が向上しています。
磁気ベアリングは信頼性の向上にさらに寄与します。240L/sまでの弊社のEXTターボ分子ポンプは、永久磁石製上部ベアリングとオイルで潤滑された下部セラミックベアリングから成るハイブリッドベアリング構造を備えています。
ロータ技術
以下の3種類の基礎技術が採用されています。
・従来型フルスタックターボ分子ポンプ(標準は12ステージ)
・従来型ショートスタックターボ分子ポンプ(標準は8ステージ)
・複合分子ポンプ(ターボ分子とドラッグステージ)
加えて、240L/sまでのEXTポンプはソリッドバーからコンピュータ制御高速フライス削りマシンを用いて機械加工した単体ロータを使用しています。この技術は安定した硬質ロータを生み出し、最適な真空性能を実現するための事実上究極的な設計自在性をもたらします。
モータ技術
EXTターボ分子ポンプは24Vおよび80V仕様のブラシレスDCモータを採用しています。24V仕様のポンプはTIC(ターボポンプと真空ゲージ制御を一体化したコントローラ)で運転制御ができます。80V仕様のポンプはお客様の用途と経済性に合わせた各種EXCコントローラを準備しています。
突然の停電に対してもベントバルブを数秒間保持するように発電によるバックアップ電源機能を持っています。
腐蝕性ガスの排気
半導体ウエーハプロセスなどの腐蝕性ガスの排気には完全磁気浮上ベアリング採用のハーシュアプリケーション用STP-CまたはSTPH-Cタイプターボ分子ポンプをお薦めいたします。
パージポート
EXTポンプ(EXT70を除く)は全て、モータとベアリングキャビティを不活性ガス(窒素等)でパージするためのパージポートを備えています。腐蝕性ガスまたは摩耗性ガスの混合気または酸素濃度が25%を超える混合気を排気したときには、ポンプをパージすることをお勧めします。弊社のPRX10パージリストリクタを用いてパージガスの流量を設定することができます。通常、その流量は全ガス負荷に対して最大25sccmを付加することになるため、背圧ポンプのサイズをそれに応じて決定してください。
ベント
貴社真空システムのクリーン度を維持するために、背圧ポンプラインからのハイドロカーボンの逆拡散抑制に十分な速度でロータが回転している間に、ターボ分子ポンプノーマル回転速度の1/2の回転速度またはそれ以上でベント(通気)することをお勧めします。
EXTポンプのベントポートは、フルオロエラストマシールのベントバルブが使用されている場合でも、最大限の清浄度を維持するためにロータのある程度上部に設置されています。各ポンプには手動ベントバルブが付属しています。この手動バルブを使用する場合は、急激に開放しないように注意する必要があります。特にシステムの容積が小さい(一般にターボ分子ポンプの概算容積よりも小さい)場合は、注意が必要です。圧力上昇率が高すぎると、ポンプベアリングの寿命が短くなるおそれがあるためです。
一定のベント流量では、小容積のシステムでは大容積のシステムよりも圧力が急上昇しやすいため、ベント流量を制限する必要が生じます。EXTポンプに取り付けることができるベントリストリクタVRXを用意しております。
手動ベントバルブでは圧力上昇率を正確に制御することはできないため、適切なVRXリストリクタを取り付けていない場合は、ターボ分子ポンプが50%の速度(コントローラが表示)まで減速するのを待ってから手動ベントバルブを開く必要があります。
圧力上昇の最大許容率はポンプのモデルによって異なります。許容される最速の圧力上昇を安全にい維持するために必要なベントリストリクタの大きさに関するガイダンスは、EXTポンプに付属する取扱説明書に記載されています。
オール磁気ベアリングを用いるポンプでは、特にベント速度の制御が重要です。制御しないと、保護用ベアリングが損傷するおそれがあります。
手動ベントバルブは、EXCコントローラが作動させるTAVソレノイドバルブに置きかえることができます。それにより、ポンプ停止後、2秒の遅延時間によるベント、または回転速度が50%に低下するまでベントを遅延させることができます。EXCコントローラは、電源またはポンプが故障したときでもTAVベントバルブを制御する能力も備えています。
ソレノイドベントバルブは2種類のオプションから選択することができます。それらは、大半の自動ベントアプリケーションに対応するTAV5と、TAV5よりもコンダクタンスが大きく、より大型のチャンバ(一般に10リットルを超える)に使用するか、可能な限り最短のベント時間を実現するために2ステージのベントを希望する場合はTAV6を選択します。2ステージベントでは、2個のTAVバルブが必要です。最初のステージのベントバルブに適切に制限された流量を用いることで、EXTポンプがまだフル回転の状態においてもベントを開始させることができます。ポンプが1/2の回転速度に減速した時点で、第2ステージのベントバルブからより大きな流量を導入することが可能です。
インレットスクリーン
全てのEXTポンプには標準でインレットスクリーンが取り付けられています。インレットスクリーンは、ポンプのインレット内に異物が落下するのを防ぎます。加えてインレットスクリーンは、貴社真空システムから切り離したときに、作業者の指がポンプのブレードに接触するのを防ぎます。
冷却
大半のアプリケーション用に、適切なACXクーラを貴社のEXTポンプに接続し、強制空気冷却を行うことをお勧めしています。外気温が30℃未満ならば、EXT70およびEXT70H、ポンプは自由対流によって冷却が可能です(ガス負荷と背圧に依存)。
注記:高ガス負荷、高背圧、急速サイクルでの用途には、追加冷却を必要とします。
外気温度が35 ℃を超える場合は、EXTを水冷する必要があります。水冷却接続コネクタは全EXTポンプに装着されています。水冷のコネクタは内径6 mmのホース用か、1/8インチのBSPオス側ねじ付き継手に直接接続できます。
水冷によってポンプモータとベアリングの作動温度が低下します。水冷は、EXTポンプで連続高排気を行う(すなわち、インレット圧が1×10-1Paを超える)か、EXTポンプを70℃以上(インレットフランジで計測)にベーキングするときに特にお勧めします。
機器の範囲
EXTターボシステムとしては、EXTポンプ、EXCコントローラ、およびEXTポンプ〜コントローラ接続ケーブルが最小限必要となります。
各EXTポンプにはインレットスクリーン、エラストマ製インレットシールまたは銅製ガスケット(CFフランジの場合)、手動ベントバルブ、および水冷ポートが付属しています。
各EXCコントローラには2mの末端処理されていない電源ケーブルが付属しています。ポンプ〜コントローラ接続ケーブル(EXC100Lは例外)とプラグ付電源ケーブルは別途注文する必要があります。
EXTアクセサリ