
ロータリポンプの排気速度と排気時間の算定方法
特定のシステム圧Pに到達する排気速度を求める公式:
S=(F_V)/T (1)
お客様のシステムを特定の圧力Pまで排気するのに要する時間を求める公式:
T=(F_V)/S (2)
上記の公式において
T: 排気時間、
F: 圧力Pにおける排気係数、
V: 真空システムの容積、
S: ロータリポンプの排気速度
Fは図1から読み取ります。T、V、およびSは単位を一致させる必要があります。
すなわち、Tは時間、Vは立方メートル、Sは1時間当たりの立方メートルです。

インレット圧が低下するにつれて、Fはロータリポンプの排気速度変化を補正します。ただし、Fは相互接続されているパイプのコンダクタンスが及ぼす影響に対する補正は含んでいません(この補正を行うには、以下のセクションを参照してください)。
これらの計算は、クリーンで漏れの生じていない真空システム用です。これらの曲線は、10Pa以下の圧力へ適用は出来ません。低圧下では、システム設計とガス放出の影響がより重要になるためです。
たとえば、0.05時間(3分間)で100Paまで減圧する必要のある0.06m3(60L)の真空システムを想定してみましょう。 図1から、100Paにおいて、F=7であることが読み取れます。
S=(F×V)/T=(7×0.06)/0.05=8.4m3/h
上記の等式から、最低速度が8.4m3/hで、到達真空度が100Paをはるかに下回る到達圧のポンプが必要なことが判明しました。
当社のRV8ポンプがこのアプリケーションに適します。
接続配管のコンダクタンスの影響
配管内のガスおよび蒸気の流体抵抗は、必要となるポンプのサイズまたは特定ポンプで実現可能な排気時間に大きな影響を及ぼします。お客様のシステム内のパイプの寸法が既知ならば、排気速度と排気時間の計算を補正できます。様々な径の長さ1mのパイプのコンダクタンスは、図2に示されています。
このグラフ内のデータには以下の制約があることに注意してください
曲線の破線で示されているデータは、ロングパイプにおける低速の粘性層流にのみ適用されます(そうしたパイプの長さは一般に、パイプの直径の100倍以上になります)。このデータは、乱流(パイプのコンダクタンスが大幅に低下することがある)または圧縮ガス(ショートパイプ内のガスまたは高速流にさらされる)には適用されません。ショートパイプ(パイプの長さが一般にパイプ径の100倍未満の場合)または図2の曲線の破線部分に示されているパイプの径と圧力を計算する場合は、当社までお問い合わせください。

特定の圧力下におけるパイプのコンダクタンス
Cp=C/L
上記の公式において、
Cp: パイプのコンダクタンス
C: 図2から読み取ったメートル単位のコンダクタンス
L: パイプの長さ(メートル単位)
を指します。
次に、Cpの値を用いて、ポンプインレットに接続されたときにパイプ末端における排気速度を補正します。 以下の等式を使用します。
1/Sp=(1/S)+(1/Cp)または
Sp=(Cp_S)/(Cp+S) (3)
上記の公式において、
Sp: パイプ末端における排気速度
S: ポンプの排気速度
を指します。
排気時間算定時のおおよその補正と同様の手順を用います。まず、図2を用いて必要となるシステム圧におけるCの値を読み取り、その圧力におけるお客様パイプのCpを計算します。 次に、等式(3)の排気速度SとCpを利用して補正済み速度Spを計算します。そうして得られたSpの値を等式(2)に使用し、排気時間Tを予測します。
ポンプとプロセスチャンバ間で径の小さいパイプを使用すると、有効排気速度が制限されます。 一般に、大径かつ短いパイプと小型ポンプを使用する方が、より大型のポンプの排気速度を制限するよりも経済的です。有効排気速度がポンプの速度の80%以上になることを目指すべきです。等式(3)と図2のグラフを用いて必要となるパイプの最低サイズを選択できます。
たとえば、お客様のプロセスチャンバ内で100Paにおいて150m3/hの排気速度が必要で、ポンプをチャンバから6m離すべきならば、たとえパイプライン内で損失が生じなくとも、E1M175ポンプ(135m3/hat100Pa)では小さ過ぎます。そのため、排気速度が230m3/hのE1M275ポンプの使用を検討してください。等式(3)を用いて以下のように接続パイプの最低コンダクタンスを計算します。
Cp=(S×Sp)/(S−Sp)=(230×150)/(230−150)=430m3/h
上記の等式により、メートル単位のコンダクタンスは、430×6=2580m3/hとなります。
図2によると、100Paにおいて2580m3/h以上のコンダクタンスを持つ、径が上位の直近パイプは70mmです。便利なことに、このサイズはE1M275ポンプのインレットと同径です。
排気時間の延びが20%未満に抑えるための最大パイプ長
表1の早見表は、パイプのコンダクタンスがポンプ排気時間に及ぼす影響を20%以下に抑えたい場合に、ポンプをお客様真空システムに接続するために使用できるパイプの最大長を示しています。

当社の計算は、使用するパイプと継手がインレットポートのサイズに対応していることを前提としています。すなわち、RVポンプにはNW25パイプと継手が使用されています。それよりも小径のパイプと継手を使用すると、ポンプ排気時間は大幅に延長されます。
拡散ポンプの背圧排気用ロータリポンプの選定方法
2ステージのロータリポンプ(RV5やE2M18ポンプ)を用いて拡散ポンプを補助することをお勧めします。拡散ポンプが規定最大排気量で作動しているときは、背圧は臨界背圧の0.5倍を超えるべきではありません。拡散ポンプの最大排気量は、1Paで算定される点に注意してください。ベーパブースタポンプの最大排気量は、100Paで算定されます。以下の等式を用いて、ロータリポンプに必要とされる速度を計算します。
S≧Tm/(0.5×Pcb)
上記の公式において、
S: ロータリポンプの排気速度
Tm: 拡散ポンプの最大排気量
Pcb: 拡散ポンプの臨界背圧
を指します。
たとえば、1Paとそれに対応する60L/sの速度において、ディフスタック100/300ポンプの最大排気量は60×1=60PaL/sになります。サントバック5フルードを使用したこのポンプの臨界背圧は60Paです。そのため、必要となるロータリポンプの速度は以下の通りとなります。
S≧60/(0.5×60)=2L/s≠8m3/h
このアプリケーション(パイプコンダクタンスの影響未補正)に適する、直近の上位2ステージロータリポンプはRV8です。お客様システム用の最大排気量がポンプの規定最大排気量を下回る場合は、より小型のロータリポンプを使用することもできます。当社にご連絡ください。
選択したロータリポンプが、許容時間内にお客様真空システムを大気圧から臨界背圧までポンプ排気可能かどうかを点検する必要があります。不可能ならば、より大型のロータリポンプを選択すべきです。
ターボ分子ポンプの背圧排気用ロータリポンプの選定方法
2ステージのロータリポンプ(RV5やE2M18ポンプ等)またはスクロールポンプを用いてターボ分子ポンプを補助することをお勧めします。必要となるロータリポンプのサイズは、必要とされるシステム圧における最大背圧とターボ分子ポンプの速度に依存します。
S≧(St×P)/(0.5×Pmb)
上記の公式において、
S: ロータリポンプの排気速度
St: お客様が必要とするシステム圧Pにおけるターボ分子ポンプの排気速度Pmb: ターボ分子ポンプの最大背圧
を指します。
従来型ターボ分子ポンプの最大背圧は一般的に10Paであり、複合ターボ分子ポンプでは、約500Paです。たとえば、従来型の200L/sのターボ分子ポンプで1×10-2Paのシステム圧を実現したい場合は、必要となるロータリポンプの排気速度は、以下の通りになります。
S≧(200×10-2)/(0.5×10)=0.4L/s≠1.44m3/h
そのため、10Paにおいて1.44m3/hの速度のロータリポンプが必要です。そのアプリケーション(パイプコンダクタンスの影響未補正)に適する、直近の上位2ステージロータリポンプは、RV3です。
選択したロータリポンプが、許容時間内にお客様真空システムを大気圧から臨界背圧までポンプ排気可能かどうかを点検する必要があります。不可能ならば、より大型のロータリポンプを選択すべきです。この点は、複合ターボ分子ポンプを使用する場合は特に重要です。それらのポンプは最大背圧が大きいため、より小型の補助ポンプを使用できます。あらゆるアプリケーションでは、大型補助ポンプを使用することによって、より低い到達真空度(Pの低下)が実現される点を覚えておくべきです。
水素またはヘリウムを排気したい場合は、上記の数式が適用されないことがあります。当社までお問い合わせください。
高真空ポンプとロータリポンプ間のパイプの影響
前述の通り、ロータリポンプと高真空ポンプ間のパイプのコンダクタンスが有効排気速度を低下させる可能性があります。すなわちそれは、ロータリポンプの非制約下における排気速度が十分であっても、高真空ポンプの臨界背圧を超えるおそれがあることを意味します。
ロータリポンプと高真空ポンプ間の内径と長さが既知ならば、等式(3)と図2のデータを用いてパイプ末端での排気速度を計算できます。次に、その補正済み排気速度を高真空ポンプの最大排気量と一致させます。
別の方法として、表2にロータリポンプと高真空ポンプ間で使用可能な最大長のパイプを示す早見ガイド(50Paにおける排気速度を20%以上落とさない場合用)を記載しました。当社による計算は、使用するパイプと継手がインレットポートのサイズと一致していることを前提にしています。たとえば、RVポンプにはNW25パイプと継手が使用されています。それよりも小径のパイプと継手を使用する場合は、より短いパイプを使用する必要があります。
