
当社の拡散ポンプは多様なポンプとアクセサリを取り揃えているため、広範なアプリケーションに適します。
当社の科学分野向け小型拡散ポンプは、計測機器や一般的な研究開発用に設計されています。また、当社の工業用ハイスループット拡散ポンプとベーパーブースタポンプは、真空冶金、蒸留、コーティングといったアプリケーションの要件を満たしています。さらに、TVブラウン管の真空排気用にも専用モデルを各種取り揃えています。
当社はポンプに適切なアクセサリを取り揃えており、あらゆるアプリケーションに対して完全な高真空排気ソリューションを提供します。
排気速度と流量
拡散ポンプの排気速度(容積流量)は、1秒間にポンプのインレットを通過するガスと蒸気の容積で、L/sの測定単位で表します。スループット(質量流量)は、1秒間にポンプ内を通過するガスの質量で、Pam3/sの測定単位で表します。ポンプのスループット(質量流量)は、ポンプのインレットとアウトレットで同一です。
一定の圧力下では、排気速度(S)とスループット(Q)の関係は、Q=P×Sというシンプルな等式で表され、Pは圧力を意味します。この等式を利用して排気速度とスループットの測定値間で変換を行うことができます。
1×10-1Paを下回る圧力では、おおむね排気速度はポンプ性能を表す最も便利な要素です。それらの圧力下では、排気速度はポンプインレットの径と比例します。排気速度を上げるには、大型のポンプが必要になります。
1×10-1Paを超える圧力下では、ポンプ性能を表す際にポンプの排気速度が最も頻繁に用いられます。それらの圧力下では、ポンプ性能は全体的なサイズだけでなく、内部の構造による影響を受けます。
お客様のアプリケーションに最適な種類の拡散ポンプを選ぶには、そのアプリケーションに必要な作動圧と排気速度(またはスループット)を定義し、それらを当社の拡散ポンプの性能と一致させます。必要となる排気速度を計算するときには、プロセスガスのスループット、真空システムのガス放出、システム内への漏れの分を含める必要があります。さらに、作動圧を到達するまでの時間も考慮に入れる必要が生じることもあります。
計測方法
圧力と流量を計測する際に使用する方法は、近年、精度が向上し、システムの状態をより厳密に制御できるようになりました。HT拡散ポンプのカタログに記載されている排気速度とスループットは、ISO基準に従って最新テクノロジーである全圧真空計と流量トランスデューサを用いて計測したポンプの実測値に基づいています。
旧タイプのポンプに記載された排気速度とスループットに関しては、数値の違いが生じることがあります。従来、圧力の計測はマクラウド真空計を用いて行われていたためです。旧式真空計は、最先端の全圧真空計による測定値よりも最大で30%も速い速度を示す傾向があります。
排気性能を示す際に選ぶ計測基準によっても違いが生じることがあります。AVS(米国真空協会)の基準は、ISOの値を最大で15%上回る速度とスループットを示す場合があります。従来の業界慣行では、上記の事情とゲージの精度(ア15%)を考慮に入れ、今日の全圧計測機器を用いて計測される値の60%を上回る速度が仕様に記載されている場合があります。よって、同様のサイズの他社ポンプに公表された旧データ仕様と当社のHT拡散ポンプの仕様を比較するときには、その点に注意が必要です。
到達真空度
拡散ポンプの到達真空度は、ポンプのインレット上部(またはディフスタックでは、高真空バルブ上部)を計測した時の最低圧力のことです。到達真空度は、次の要素に依存します。
・ポンプ内で使用されているフルード(拡散ポンプオイル)の種類
・インレットバッフルの温度、真空システムからのガス放出量
・システム内へ漏れる量
臨界背圧
臨界背圧とは、拡散ポンプが背圧ラインで耐えることができる最大圧力のことです。圧力が臨界背圧よりも大きくなると、ポンプが排気できなくなります。臨界背圧は、ポンプの構造、ヒータの出力、拡散ポンプに使用されているフルードに依存します。
逆拡散
逆拡散とは、ポンプフルード蒸気の分子がポンプから真空システムへ直接移動することです。当社の全ポンプは、逆拡散を最小限に抑えるための特別設計を採用しています。すなわち、ポンプにはトップジェット上部にガードリング(コールドキャップとも呼ばれる)が取り付けられています。このガードリングは、トップジェットから真空システムへ移動する蒸気の分子を凝結させます。
高感度のアプリケーションでは、わずかな逆拡散も嫌われます。ポンプ最上部にバッフルまたはトラップを取り付けることで逆拡散を最小限に食い止めることが可能です。
アクセサリ
拡散ポンプ用アクセサリには、サーマルスナップスイッチ、バッフル、トラップ、特別な隔離バルブがあります。当社HTポンプのアクセサリには、ポンプ温度を測定するサーマルプローブ、作業者をポンプベースの高温面から保護するヒートシールド、逆拡散を抑えるインレットバッフルがあります。
バッフル(ポンプと真空システム間に取り付ける)は、ポンプフルード蒸気がお客様の真空システム内へ逆拡散する量を削減する目的で使用します。液体窒素によって冷却されたトラップは、上記ポンプのインレット上部に取り付け、真空システムとポンプ自体からの凝縮性蒸気をトラップします。そのため、トラップはポンプの蒸気負荷と逆拡散を低減します。
用途
・質量分析
・ガス分析
・漏れ検出
・薄膜コーティング
・高真空システム
・ランプの真空排気
・表面物理
・小型真空オーブン
・真空絶縁/低温搬送
拡散ポンプ Q & A
バッフルや液体窒素トラップを使用した場合、ポンプの排気速度にどの程度影響しますか?
バッフルやトラップはオイルの逆拡散防止と凝縮性ガスの捕集に有効ですが、一般的に排気速度は50%程度低減されます。また、インレットバルブも10%程度は低減要因になりますので、排気系設計時には配管コンダクタンス以外に、これらアクセサリの影響を考慮する必要があります。
拡散ポンプ運転中にボイラ付近から異音がするのですが、どんな問題が考えられますか?
オイルが規定量以上に入っていると異音が出る場合があります。拡散ポンプのオイルは多すぎても、少なすぎてもいけません。オイルゲージで規定量が入っている事を必ず確認してください。
拡散ポンプ運転中にオペレーションミスで大量のエアーを入れてしまいました。このまま運転を続ける事は可能ですか?
拡散ポンプに大量のエアーを導入した場合、ジェット噴射が乱れオイルが上流に巻き上がるのみならずオイルが酸化し、ポンプ内部やノズルの部分に酸化物が付着し、排気性能が著しく低下します。程度問題ですが、運転を中止し分解洗浄することをお勧め致します。また、フッ素系オイルを使用している場合は酸化により有毒ガスが発生しますので、取扱には特に注意が必要です。
拡散ポンプにもメンテナンスは必要ですか?拡散ポンプは回転部分が無いので、Q3の様なケースを別にすれば長期間安定に使用できるポンプです。しかし、用途と使用環境によりメンテスパンは異なりますが、一般的に以下のようなメンテナンスが必要です。
・オイルの補充または交換(経年劣化や補助ポンプ側への流出でオイルが減少します)
・冷却パイプの清掃(冷却水の水質に依存しますが、水垢の付着や詰まりにより冷却効率が低下します)
・ヒータの交換(ヒータは消耗品ですが、取付け面が不均一、締付けトルクが不適切だと短寿命の要因となります)
・Oリングまたはシール類の交換(特にオイルドレインや油量計のOリングは熱の影響を受けやすく劣化が促進されます)
・補助ポンプや付帯設備のメンテナンス(拡散ポンプが正常に働く為には補助ポンプやバルブなどの付帯設備が正常に機能することは必要です)